ご挨拶

砂防学会長
北海道大学 特任教授
丸谷 知己
研究分野
地理学 / 地理学
環境学 / 環境影響評価・環境政策
社会・安全システム科学 / 自然災害科学
森林学 / 森林科学

砂防学会のホームページを開いていただきありがとうございます。砂防学会では、私たちの活動を広く社会に知っていただくために、また学会会員や関係者への情報提供を充実するために、ホームページを全面的にリニューアルいたしました。

科学技術には、新しい理論を発見したり、便利な製品やシステムを開発して、社会を前に進める分野と、災害や病気のような人間社会へのダメージを少しでも軽くして、社会を後戻りさせない分野とがあります。後者のほうは、100%成功しても社会の現状維持しかできないので、普段は目につかない分野ですが、自分自身がダメージを受けて、あるいは危機から救われて、初めてそのありがたさを理解できる分野です。砂防学では、主に自然災害を相手にしていますが、中でも人間社会に直接影響を及ぼす土砂や水などの振舞を理解し、それを緩和するための新技術を開発することが大きな課題です。

万物は常に変化(生々流転)していますので、その変化を押しとどめることはできません。しかし、変化というものは少しずつ起きれば人間社会に災いをもたらすこともないのに、一時に大きく変化すると人間社会に大きなダメージを与えます。砂防技術とは、このような劇的な自然の変化を緩やかにして、人間社会と自然との調和をもたらすための技術です。砂防学会では、その砂防技術を支えるための科学的な研究や技術の開発およびそのための人材の教育を行っています。

最近の日本では地震や火山活動に加えて、気候変動が激しくなり、台風や豪雨による土砂災害も増加しています。2011年の東北地方太平洋沖地震災害に始まり、2011年の紀伊半島大水害、2013年の台風26号による伊豆大島災害と秋田岩手豪雨災害、2014年の広島土砂災害、2016年の熊本地震災害と北海道台風災害、2017年の九州北部豪雨災害など毎年のように大きな土砂災害が発生しています。砂防学や砂防技術が発展しているにもかかわらず、です。これは、気候変動だけでなく山間地の開発や一極集中と過疎化など人間社会の在り方にも、土砂災害の大きな原因があるからです。

結局、砂防学の果たす役割は、人間社会の将来あるべき姿を描きながら、地域社会の安心と安全をはかることなのです。このホームページでは、砂防学の研究に関する情報だけでなく、私たちの生命や日常生活を脅かす身近な脅威に関する情報も提供するように心がけています。皆様に、いっそうご活用をいただけることを願っております。


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PDF:砂防学会って何ですか?学会長に聞きました。