平成9年4月17日
第6回12.6蒲原沢土石流災害調査委員会 記者会見資料
(社)砂防学会
1.施設の被災原因について
・ 谷止工は、渓岸・渓床を安定させ、林地の保全を目的として計画・設計されており、土石流の流体力を考慮して設計されてはいなかった。
・谷止工の破壊原因については、土石流痕跡の現地確認も行った上で検討する必要もあるが、現時点においては、
(1)上流側谷止工については、少なくとも10m/sを超える流速による流体力(200tf/m以上)により、天端から6.6〜6.7mの位置に破壊応力が集中し、被災したものと考えられる。
(2)下流側谷止工については、上流側谷止工を上回る流速、流体力が作用し、一気に破壊、被災したものと推定される。
・今後の現地調査の結果を踏まえ、さらに谷止工に実際に作用した力を検討するとともに、施設の計画・設計に対する提言をとりまとめる予定。
2.蒲原沢における警戒避難体制について
・各工事現場における警戒避難体制について確認したところ、請負者は降雨を目安とした警戒避難体制をとっていた。
・このうち、林野庁施工現場では、労働安全衛生規則に基づく雨量を基準としており、豪雨時には工事は実施されていなかった。
・また建設省施工現場では、隣接請負者間で構成する「葛葉・蒲原連絡協議会」が蒲原沢土石流に対する退避連絡基準雨量を定めており、過去の豪雨時には実際に工事中止等の措置をとっていた。
・今後は、今回の土石流の実態を明らかにした上で、より望ましい警戒避難体制のあり方についてとりまとめる予定。
3.現地調査について
・4月に入り、標高1,300m付近の崩壊地の拡大及び渓岸・渓床の状況変化等が確認されたため、当初予定していた調査の一部が実施困難となった。
・5月26、27日に第7回委員会(現地調査)を、5月29日に第8回委員会(東京)の開催を予定している。
・委員会では第8回委員会までに得られた資料により最終報告をまとめる予定。
蒲原沢土石流災害調査委員会に関する問い合わせ先
砂防学会事務局長・窪田順平
e-mail:
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社団法人 砂防学会
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館内
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Last modification: Jan 26, 1998;since May 26. 1995.