2010年8月10日〜16日における四川地震災害の調査研究実施報告書参加者:川邉 洋・権田 豊(新潟大学)、石川芳治(東京農工大学)、土屋 智(静岡大学) 1.研究発表会8月11日:15時から、山地災害及環境研究所の会議室にて開催。欧国強教授、潘華利助理、コースドクター2名、ほか若手研究者・学生約20名の参加があった。それぞれの発表に関して多くの質問があり、18時を過ぎての終了となった。 発表内容:四川地震にともなう斜面崩壊の発生場の特徴(土屋 智) 2008年岩手・宮城内陸地震による斜面崩壊の特徴について(石川芳治) 台湾・2009年モラコット台風による土砂災害の特徴(権田 豊) 衛星による四川地震被災地一帯の雨量の予測(川邉 洋)
2.地震後の土砂災害の現地視察・虹口郷白砂河周辺(聯合村)の土石流災害を視察 ・龍池鎮小湾の土石流災害を視察 ・綿竹市漢旺鎮(綿還河橋)まで ・彭州市紅白鎮まで ・映秀鎮手前の遊口鎮まで ・小魚洞郷大宝鎮龍門山村まで なお、漢旺鎮(綿還河橋)、紅白鎮、遊口鎮、龍門山村からさらに奥は、いずれも8月12日夜から8月14日にかけて龍門山脈地帯を襲った豪雨による崩壊・土石流災害等による通行止めで、進むことができなかった。豪雨による災害の概況については後に記載してあります。
3.四川地震後の土砂災害に関する研究打ち合わせ・欧国強教授から、今年度JSPSからの公募があれば、共同研究を申請したい、研究モデル流域を虹口郷深渓村8組鍋圏岩渓流とし、雨量と土石流の発生・流動化に関する観測を主体とし、予算規模は360万円程度としたいとの提案があった。公募があれば、日本側も協力していきたいことを伝えた。 ・甘粛省甘南蔵族自治州舟曲県で8月7日に発生した大規模土石流災害(死者約1,500人)について情報提供があり、日本側調査団派遣の可能性等を含め、意見交換を行った。
4.2010年8月12日〜14日に龍門山脈地域を襲った豪雨による崩壊・土石流災害の概要(NS西都市新聞、8月15日版より)
四川省において11人死亡60人行方不明8都市(自治州)で被災者数49.8万人 2010年8月12日から14日にかけて、四川大地震の主な被災地である汶川県を含む、四川省の多くの市や自治州では豪雨に見舞われ、各地で土石流、山崩れ、洪水などの被害が相次いで発生し、市民の生命および財産に甚大な被害が発生した。被害発生後、四川省は防災緊急措置レベル2を発令した。今回の豪雨では、四川大地震で大きな被害を受けた綿竹市、汶川県、都江堰市の山間部での被害が特に深刻でした。また、岷江下流の乐山でも洪水による被害が発生しました。災害の概要を表-1に示す。 8月13日早朝、綿竹市清平村では大きな山津波が起き、多数の山崩れが発生し、土石流の氾濫面積は500万平方メートルまで拡大し、交通や通信は完全に途絶し、5000人以上が避難し、9人が死亡、5人が行方不明となり、家屋379棟が全壊し、600棟以上が浸水の被害を受けた。 8月13日午後には、都江堰市龙池と虹口において山津波が突発し、約800人が避難した。14日19時の時点で、1人が死亡、12人が行方不明となり、家屋137棟が全壊等の被害を受けた。 8月13日夕方から14日早朝にかけて、汶川县でも豪雨が発生し、映秀、游口、银杏など多くの集落で災害が発生し、交通、通信、電力、給水が途絶した。14日15時の時点では38人が行方不明になった。特に岷江に流れ込んだ土石流の土砂が堰赛湖(水海)を形成し、川沿いの九赛沟環状線や国道213が200m埋没し、道路が寸断され、大勢の人が孤立したが、その後避難した。 四川省民政厅の発表によれば8月14日12時までに、山津波と土石流による災害はコ阳、绵阳、成都、宜宾、乐山、攀枝花、阿坝、广元8市(州)20県(市区)にわたり、49.8万人が被災し、8人が死亡、60人が行方不明となり、2万人が緊急避難を行った。 表−1 豪雨による主な災害概要(2010年8月12日〜14日)
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